『あるゾンビ少女の災難』を君は知っているか?
夏アニメも放送が開始され、アニメオタクの皆々様につきましては今期もたくさんのアニメを見られていることかと存じます。
さて、「今期アニメ」には間違いないのですが、ネット配信のみの形態を取っており、碌な宣伝もされてないために、選ばれし強者しか視聴する土台に辿り着けない作品が御座います。
ご存知でしょうか?
・・・もしかしたら知ってるかな?
『あるゾンビ少女の災難』というアニメです。
『みんなの賞金稼ぎ』や『BLOOD+』を手掛けた池端亮さんの原作を、GONZOとスティングレイがアニメ化。7月4日からAmazonを始めとした各動画配信サイトで有料配信が開始しています。
しかし、この作品、実はものすごく昔にアニメ化の話が上がっていて、音沙汰の無いまま6年が経過し、この度に突如として配信開始となった稀有な経緯を持っています。
事の発端は、2012年6月25日、翌月に発売を控えた二冊の新装版の告知に合わせて、スニーカー文庫の公式サイトにてアニメ化企画が発表されたことに始まります。
http://www.sneakerbunko.jp/ (画像は2012年6月26日取得)
続いて、2012年7月1日には、「あるゾンビ少女の災難 アニメ化決定特報PV」というタイトルでyoutubeに動画がKADOKAWAanimeより投稿されます。
さらには、ニュースサイト等でもいくつか取り上げられ、同時に進行したとされる実写化企画についても言及された他、原作の編集者にインタビューを行い、突如として知らされたアニメ化の打ち合わせやシナリオの確認で忙しそうにしている様子が伺える状況だったのが、一転。
進展情報が全く届かないまま、どこの会社が制作したかも分からないPVにあるショッキングな映像だけが独り歩きをする異様な状態になっていました。
その間、驚くべきことに実写化企画は進行し、『フジミ姫〜あるゾンビ少女の災難〜』というタイトルで上映館は限定されますが公開を果たしています。逢沢りなさんや春奈るなさんが主演なされています。
しかしながらアニメの方はからっきしで、流石に長すぎる空白期間に痺れを切らし、頓挫してしまったと類推するファンも多かった中で、6年の歳月を経ようとしていた矢先に突如として転機が訪れます。
今年2018年4月13日に公式サイトがオープンし、同時に「『あるゾンビ少女の災難』予告編」というタイトルで、これまた意味不明にも洋画DVDデータ管理会社であるスティングレイ(名義はallcinemaSELECTION)より動画が公開されます。
岩見英明監督を始め、GONZOに縁のあるスタッフが並び、制作はGONZOとスティングレイの連名になってますが、何故かGONZOの公式サイトでは一切この作品に触れておらず、公式Twitterに関しても同様です。
この情報化社会において、ネットで調べても分からない事なんて、ことサブカルチャーの分野においてはそうそう無いと思いがちなのですが、この作品に関して言えば、本当に謎です。
記事を書いていく中で、この作品について調べれば調べるほど深みに嵌り、幻でも追いかけているのかなという気持ちになりますが、事実既に配信は開始しており、アニメとして存在はしているのです。
配信が開始しているのに共同制作のGONZOが全く触れてないのは何故・・・。
ちなみにこの作品と全く関係ないですが、GONZOが制作した『絶対防衛レヴィアタン』の公式ツイッターは、放送終了後5年経っているというのに、放送していたのがつい昨日ことであるかのように感じさせる、色褪せない宣伝がちょっとした狂気を感じさせるくらい大変魅力的なので、併せて記しておきます。
GONZOが公に宣伝していない以上、本当に無関係の情報を紛れ込ませてしまって、申し訳御座いません。
話を戻しまして、一応もう一方のスティングレイ側の公式Twitterは存在しているようですが、配信開始の2日前くらいに突如として開設されて、二言三言呟いているだけに留めています。
逆にプロ同士多くを語らない雰囲気も出していて通好みと言ってしまえば聞こえは良いですが、単純に情報伝達が不足しているだけのような気もします。
それにしてもGONZOが触れないのは本当に何故・・・。
作品の紹介だけで随分と長くなってしまいましたが、ここからは本編について。
悪趣味と思えるほど血生臭く、直前に焼き鯖寿司を食べていたこともあって、見てる最中は吐き気を我慢しながら、見た後には暫くげんなりとしました。
(頭蓋から飛び出た脳をもぐもぐするシーンとかが精神的に辛かっただけで、福井県の名産を馬鹿にしているわけでは御座いませんので、どうかご容赦下さい)
まずグロい。損傷部分が克明に描かれるのもそうなんですが、音がなんか気色悪い。
そんなスプラッタ然とした出で立ちの癖に、基本的には「ジェイソン目線で描くスプラッタ」が主題なので、やたらとコミカルさが目立ち、このアンバランスさが逆に恐怖をそそります。
そして、これが非常に大事な情報なんですが、約1時間半くらいの長さで1話完結と、アニメ映画のような体を成しています。
それだけにスプラッタ描写の密度も濃厚で、より一層気持ち悪さが増しています。早く終わってくれと何度願ったことか。
繰り返して見ることは、滅多なことでもない限りは無いように思える作品です。
ここまで書いておいてこんな感想で、勧めたいのか、勧めたくないのか、釈然としない締めになってしまいましたが、何にせよ、こんな良く分からないアニメが今の時代に存在するんだと驚きの方が強くて、なんというか興奮しませんか?
こういう凡庸なアニメオタクなら知り得もしない謎の作品を愛して止まない諸氏なら、間違いなく食い付くだろうと思って、手応えは感じています。
或いは、以前のアニメ化情報を耳にしていた方ならピンと来るかも知れませんが、何分古い話なので、覚えてる人も稀でしょう。
有料ではありますが、今まさに、配信しています。
是非この機会に購入して、運命的な邂逅を果たして、まだ見てないアニメオタクにしたり顔で紹介してやって下さい。
「こんなアニメが今期やってるんだけどさぁ、知ってる?」